2022年はもう目前...。世界の新年の音楽を聞いて年を越そう!

もう いくつ寝ると お正月

もう2021年も終わりますね。

皆さんはお正月の歌といったら何を思い浮かべますか? 恐らく冒頭に書いたフレーズの、この曲を思い浮かべるでしょう。

♪お正月〈振り付き〉【♪日本の歌・唱歌】
例のお正月の歌を知らない日本人は少ないであろう。

この曲は滝廉太郎作曲の唱歌で、日本では時期になると多くのメディアが象徴として流布するほどポピュラーですが、海外でこの曲を知る人は多くはいないでしょう。(実際この曲のWikipediaは他言語板で一つも存在しません)

実は海外でもそれは同じです。

ということで今回は、国外で有名で国内で無名なお正月の曲を厳選して3つ紹介します!

日本とは使われ方の違う... 英語圏の新年の歌

Auld Lang Syne

【和訳付き】蛍の光 (スコットランド民謡) "Auld lang syne" - カナ読み有
厳密にはスコットランド語であるため、oldがauldと綴られている。

現代の日本で閉店の音楽として有名な蛍の光の原曲である「Auld Lang Syne」はスコットランド民謡です。

スコットランドでは非常に古くから愛されてきたこの曲の作詞はロバート・バーンズが現在の形にしたことはわかっています。

なお、作曲が誰によるものかは古くから伝わってきた民謡の為、知るすべはありません。

歌詞は別れていた旧友との再開を表していて、曲調を含めどこか懐旧の念を感じさせます。

多くの英語圏の国では時計の針が12時を迎えたら全員でこの歌を歌い、そして思い出を振り返り共有し合うそうです。

明くる年の大晦日には再び、この歌を歌って思い出を共有し合ったことも、懐かしさを感じる思い出の一コマへと変わっているのでしょう...。

新年は1月1日とは限らない。ベンガル暦の新年の歌

এসো হে বৈশাখ(Eso he boishakh)

Eso He Boishakh Esho Esho | Rabindra Sangeet | Full HD Video
歌詞(ベンガル語)
এসো হে বৈশাখ (Eso he boisakh)
ধুয়া
এসো, এসো, এসো হে বৈশাখ।
তাপসনিশ্বাসবায়ে মুমূর্ষুরে দাও উড়ায়ে,
বৎসরের আবর্জনা দূর হয়ে যাক॥
যাক পুরাতন স্মৃতি, যাক ভুলে-যাওয়া গীতি,
অশ্রুবাষ্প সুদূরে মিলাক॥
মুছে যাক গ্লানি, ঘুচে যাক জরা,
অগ্নিস্নানে শুচি হোক ধরা।
রসের আবেশরাশি শুষ্ক করি দাও আসি,
আনো আনো আনো তব প্রলয়ের শাঁখ।
মায়ার কুজ্ঝটিজাল যাক দূরে যাক॥

日本語:
来たれ新年よ
来たれ、来たれ、来たれ新年*
精一杯息を吐いて行く年の悪いものを吐き出そう
古い記憶と忘れ去られた歌は手放して
涙は全て捨て去って
四百四病を追い出して
地球を満足へと燃え立たせよう。
歌う熱い息で乾かして、巻き貝の殻を鳴らして
曇った霧は取り払おう。

*ベンガル暦の最初の月Baishakhの始まりのこと
元歌詞の引用元:https://www.geetabitan.com/lyrics/E/eso-he-boishakh-eso-eso-lyric.html

(筆者はベンガル語が分かる訳ではないので、日本語訳の部分は大まかな意味合いとして捉えてください。)

引用:Pahela Baishakh Celebration

(画像はPahela Baishakhの様子)

ベンガル暦の新年はバングラディシュでは西暦4月14日インドの西ベンガル州、トリプラ州では西暦4月15日、Pahela Baishakhという祭りで盛大に祝われます。祭りでは伝統の服を着飾り、様々な食べ物を用意します。

ベンガルの人々に好んで食べられる Hilsa Fishのフライ
引用:
http://www.scratchingcanvas.com/ilish-mach-bhaja-tel-how-to-fry-hilsa/
ベンガルの男性の服装のイメージ
ベンガルの女性の服装のイメージ、様々なデザインの赤い線の入った白いShariを着る

"Eso He Boishakh"はバングラディシュ国歌の作詞者でもあるラビンドラナート・タゴールが作詞作曲しています。多くのアーティストはこの"Eso He Boishakh"を新年に歌う為、国内ではポピュラーなようです。

新しい年になったのだから、過去の悪いものは全て取り払って、体も心もリセットしよう!!というスコットランドとは別のベクトルの意思を感じさせる一曲ですね。

ロシアで誰もが知っているクリスマス...ではなく新年の歌

В лесу родилась елочка

🎄 В лесу родилась Ёлочка - детская новогодняя песня!
В лесу родилась елочка,
В лесу она росла,
Зимой и летом стройная,
Зеленая была.


В лесу родилась елочка,
В лесу она росла,
Зимой и летом стройная,
Зеленая была.


Метель ей пела песенку:
«Спи, елочка, бай-бай!»
Мороз снежком укутывал:
«Смотри, не замерзай!»


Трусишка зайка серенький
Под елочкой скакал.
Порою волк, сердитый волк
Рысцою пробегал.

Чу! Снег по лесу частому
Под полозом скрипит,
Лошадка мохноногая
Торопится, бежит.

Везет лошадка дровенки,
А в дровнях старичок,
Срубил он нашу елочку
Под самый корешок.

Теперь она, нарядная,
Hа праздник к нам пришла
И много, много радости
Детишкам принесла!
小さなモミの木は森の中で生まれました。
森の中で育ちました。
細くて、緑なのは
冬も夏も同じでした。

小さなモミの木は森の中で生まれました。
森の中で育ちました。
細くて、緑なのは
冬も夏も同じでした。

吹雪はヒューヒュー歌いました。
「眠りなよ、モミの木ちゃん、ねんねこよ!」
霜は雪とともに舞い降りて
「気をつけて、凍りつくでない!」

臆病な灰色うさぎは小さなモミの木の下へとぴょんぴょんときました。
時には、怒った狼がガウガウと駆けてきました。

ギシッ 鬱蒼とした森で響く駆け足に雪の潰れる音。ふさふさの脚の馬が急ぎ足で駆けてゆきます。

馬は薪を運んでいます。ソリに乗った農家のおじさんは、森の私達の小さなモミの木を切り倒しました。
根こそぎしっかり持っていきました。

そしてモミの木ちゃんは、おしゃれに飾り付けられて、私達の来たるクリスマスのために、さらに子どもたちのためにたくさんの幸せをもたらしてくれたのです!

元歌詞の引用元:http://www.prazdnuem.ru/newyear/songs/rodilas.phtml

(筆者はロシア語が分かる訳ではないので、日本語訳の部分は大まかな意味合いとして捉えてください。)

ロシアではキリスト教はロシア正教会です。

宗教の暦にはユリウス暦を使用しており、これが西洋のカトリックが採用しているグレゴリオ暦とは日付の計算が異なっています。

12月25日がキリストの生誕祭としているのはどちらも同じです。
しかしユリウス暦だとグレゴリオ暦より13日遅れた、1月7日がクリスマスとなるのです。

新年の後がクリスマスになっている為、新年の前にクリスマスツリーを飾り付けてしまいます。

大晦日から新年にクリスマスを含めた前祝いとして盛大に祝うのが一般的で、その代わりクリスマス当日は特にパーティを開くことがありません。

行事の歴史

古来よりロシア正教において、重視されていたのはキリスト降誕の日のクリスマスだけではありませんでした。

スビャートキと呼ばれるクリスマスから神現祭までの2週間は、めでたい習慣として吉凶を占ったり農作物の豊穣を願われていました。

それは神現祭と呼ばれるキリストが洗礼を受けたことを記念する時期だからです。(グレゴリオ暦:1月6日, ユリウス暦1月19日)

つまり、この時期は神現祭とも重なる時期のため、クリスマスだけが特別重視されている訳ではなかったということです。

さらに、ソ連時代にクリスマスは伝統として受け入れられていましたが宗教に対する目は冷たいものでした。

故に、実際にクリスマスが行われても政治色の強いものでした。

そのためクリスマスではなく、子どもたちのお祭りとしてヨールカ祭(モミの木祭り)を行う習慣ができたのです。

これが前述した通り、モミの木を新年に飾り付け、神現祭まで飾っておく習慣となります。

(歌詞中にも”子どもたちのために”と書かれていますね!)

延いては、一見するとクリスマスソングのような「В лесу родилась елочка」がロシアを代表する新年の歌として知られているのです。

「В лесу родилась елочка」はソビエトロシアの詩人Raisa Kudashevaと、同じくソビエトロシアの作曲家Leo Beckmanによって1903-1905年に作詞作曲されました。

現在ではロシアで知らない人がいないとされているので日本のお正月の歌と同じポジションにある曲と言えるでしょう。

余談

杖を持っているのが特徴です。

一見サンタクロースに見えるこのキャラクター、ロシアの伝承に出てくる雪の精でその名をジェトマロース(Дед Мороз :直訳すると寒波おじいさん)といいます。

氷の出る魔法の杖を持っているのがサンタクロースとの違いで、衣装も青いこともあります。

隣にいるのはジェットマロースの孫娘でスネグーロチカ(Снегурочка)といい、よく一緒に行動しています。

どちらも本来ただの雪の精ですが、ソ連の時代、宗教色の強いサンタクロースの代役として務め始めて以来、今日のロシアではクリスマスを祝うキャラクター、”ロシア版サンタ”として活躍しています。

他にもある!世界の新年の歌

イラン

حاجی فیروز

Norooz (Haji Firooz) - عید همگی مبارک
Noroozは春の初めに行われるイランの新年を表します。Haji Firoozはイランの伝承の人物で新年の始めに、動画のように歌ったり踊ったりするそうです。

ウクライナ

Щедрик(Shchedryk)

Ukraine Euromaidan, Щедрик (Carol of the Bells)
Mykola Leontovychniによって1916年"New Year Carol"として作られました。

ギリシャ

Αρχιμηνιά κι Αρχιχρονιά(新しい月と新しい年)

Αρχιμηνιά κι Αρχιχρονιά Κάλαντα Πρωτοχρονιάς.
大晦日に贈り物を置きに来る聖バジルの到来を歌っています。

まとめ

たったいくつかの音楽からでも、国独特の新年の多様性が見えたかと思います。

曲調や言語も様々ですよね!

面白いなと思ってもらえる方が多かったら、世界の音楽についてまた記事にしたいと考えているのでTwitterやコメント欄に感想をいただけるとありがたいです。

参考サイト

今回記事の含まれている情報はこれらのサイトから確認できます。

New Year's Eve Song - Auld Lang Syne:

https://www.newyearfavors.com/new-years-eve-song.html

Pohela Boishakh (Bengali New Year):

http://www.sikkha.net/2016/02/pohela-boishakh-bengali-new-year.html?m=1

New Year's Songs Around The World:

https://www.mamalisa.com/?song_type=New+Year%27s+Song&t=e_type&id=532

ロシアの新年&クリスマスは

https://rosianotomo.com/mostoday/chiristmas.htm

ロシアだけに住むサンタ「ジェド・マロース」の秘密:

https://ja.myecom.net/russian/blog/2015/12761/